2月12日 AN DIE FREUDE(歓喜に寄す)

<原文>
Chor
Froh wie seine Sonnen Fliegen
Durch des Himmels prächtgen Plan,
Laufet※ Brüder eure Bahn,
Freudig wie ein Held zum Siegen.

Aus der Wahrheit Feuerspiegel
Lächelt sie den Forscher an.
Zu der Tugend steilem Hügel
Leitet sie des Dulders Bahn.
Auf des Glaubens Sonnenberge
Sieht man ihre Fahnen wehn,
Durch den Riß gesprengter Särge
Sie im Chor der Engel stehn.

Chor
Duldet mutig,millionen!
Duldet für die beßre Welt!
Droben überm Sternenzelt
Wird ein großer Gott belohnen.

Göttern kann man nicht vergelten,
Schön ists ihnen gleich zu sein.
Gram und Armut soll sich melden,
Mit den Frohen sich erfreun.
Groll und Rache sei vergessen,
Unserm Todfeind sei verziehn,
Keine Träne soll ihn pressen,
Keine Reue nage ihn.

※später:Wandelt


<和訳>
合唱
天の壮麗な計画によって
よろこばしく太陽が飛びめぐるように、
よろこび勝利へ向かう一人の英雄のように、
兄弟たちよ君たちの道をゆっくりと歩め。

真実の燃え立つ鏡から
よろこびは探究者に微笑みを送る。
よろこびは耐え忍ぶものの路を
険しい徳の丘へ導く。

光差す信仰の嶺には
よろこびの旗が翻り、
引き裂かれた柩の割れ目から
よろこびが天使の合唱の中にいるのが見える。

合唱
勇敢に耐え忍べ、百万の人々よ!
耐え忍べより良い世界のために!
星空の上の空の高みで
一人の偉大な神は報いてくれる。

人は神々に報いることはできない、
それを神々に倣うことは尊いことだ。
苦悩と貧困の人も名を連ねよ、
喜ばしき人々とともに楽しめ。
怨恨も復讐も忘れ、
仇敵も許そう、
涙が彼を押し潰すことなく、
悔恨が彼を苛むことのないように。

Sigbert Mohn Verlag Friedrich Schiller Gesammelte Werke
In Fünf Bänden Band 3 pp.385-388

テーマ : ドイツ文学 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Tag : Schiller An die Freude シラー 歓喜に寄す

11月1日 AN DIE FREUDE(歓喜に寄す)

<原文>
Chor
Was den großen Ring bewohnet
Huldige der Simpathie!
Zu den Sternen Leitet sie,
Wo der Unbekannte thronet.

Freude trinken alle Wesen
An den Brüsten der Natur,
Alle Guten,alle Bösen
Folgen ihrer Rosenspur.
Küsse gab sie uns und Reben,
Einen Freund,geprüft im Tod,
Wollust ward dem Wurm gegeben,
Und der Cherub steht vor Gott.

Chor
Ihr stürzt nieder,Millionen?
Ahndest du den Schöpfer,Welt?
Such ihn überm Sternenzelt,
Über Sternen muß er wohnen.

Freude heißt die starke Feder
In der ewigen Natur.
Freude,Freude treibt die Räder
In der großen Weltenuhr.
Blumen lockt sie aus den Keimen,
Sonnen aus dem Firmament,
Sphären rollt sie in den Räumen
Die des Sehers Rohr nicht kennt.


<和訳>
合唱
この偉大な球体に住むものは
共感を信奉せよ!
それは星々へと導く、
神の坐すところの。

すべての存在は自然の胸元で
歓喜を飲む、
すべての善人も、悪人も
彼らの薔薇の跡をたどる。
よろこびは我々に接吻と葡萄酒と、
死の中で試された一人の友とを授ける、
快楽は蛆に与えられたもの、
そして智天使は神の御前に立っている。

合唱
君たちは跪くか、百万の人々よ。
世界よ、君は創造主を予感するか。
星空の上に彼を求めよ、
星々の上に彼は住んでいる。

よろこびは永続する自然の中の
強いばね。
よろこびこそ偉大な世界の時計の
歯車を動かす。
よろこびは蕾の花を開き、
蒼穹から太陽を誘う、
よろこびは学者の遠眼鏡も知らぬ
星々を空間に躍らせる。

Sigbert Mohn Verlag Friedrich Schiller Gesammelte Werke
In Fünf Bänden Band 3 pp.385-388

テーマ : ドイツ文学 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Tag : Schiller An die Freude シラー 歓喜に寄す

7月10日 AN DIE FREUDE(歓喜に寄す)

<原文>
Freude,schöner Götterfunken,
Tochter aus Elisium,
Wir betreten feuertrunken,
Himmlische,dein Heiligtum.

Deine Zauber binden wieder,
Was die Mode streng geteilt,
Alle Menschen werden Brüder,
Wo dein sanfter Flügel weilt.

Chor
Seid umschlungen Millionen!
Diesen kuß der ganzen Welt!
Brüder-überm Sternenzelt
Muß ein lieber Vater wohnen.

Wem der große Wurf gelungen,
Eines Freundes Freund zu sein,
Wer ein holdes Weib errungen,
Mische seinen Jubel ein!
ja-wer auch nur eine Seele
Sein nennt auf dem Erdenrund!
Und wers nie gekonnt,der stehle
Weinend sich aus diesem Bund.


<和訳>
よろこびよ、美しい神々の火花、
楽園の娘、
我々は火のように酔って、
君の天の聖域に足を踏み入れる。

君の魔力はふたたび結ぶ、
時の流れが隔てたものを、
すべての人々は兄弟となる、
君のやさしい翼の覆うところに。

合唱
抱擁せよ百万の人々よ!
全世界にこのくちづけを!
兄弟たちよ―星空のうえに
愛すべき父は住んでいる。

一人の友の友であるという
偉大な仕事を成し遂げたもの、
一人の美しい女性を得たものは、
その歓喜を分かち合え!
そうだ、たった一人の人でさえも
この地上で自身のものと呼べるものは!
そしてそれができないものは、
泣きながらひっそりとこの輪から去るがよい。

Sigbert Mohn Verlag Friedrich Schiller Gesammelte Werke
In Fünf Bänden Band 3 pp.385-388


シラー(Johann Christoph Friedrich von Schiller、1759~1805)
ドイツの詩人・劇作家。戯曲「群盗」「たくらみと恋」などにより、シュトゥルム‐ウント‐ドラングの時代から出発。カント哲学および美学の研究を経て、ゲーテと並ぶドイツ古典主義文学の代表者となった。ほかに詩「歓喜に寄す」、歴史劇「ワレンシュタイン」「オルレアンの少女」「ウィルヘルム=テル」、論文「素朴と情感の文学」など。シルレル〔大辞泉〕

歓喜に寄す(原題An die Freude
シラーの詩。1785年の作。1786年、文芸誌「ターリア」に掲載。経済的苦境にあったシラーを支援したケルナーへの友情から生まれた頌歌。この詩に感銘を受けたベートーベンが、交響曲第9番第4楽章の歌詞として用いたことで有名〔大辞泉〕

テーマ : ドイツ文学 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Tag : Schiller An die Freude シラー 歓喜に寄す

4月6日 墓碑銘

<原文>
Rose,oh reiner Widerspruch,Lust,
Niemandes Schlaf zu sein unter soviel
Lidern.


<和訳>
薔薇よ、おお純粋なる矛盾、
多くのまぶたの下で誰の眠りでもないという
よろこびよ。

Insel Werkausgabe Rainer Maria Rilke Sämtliche Werke In Zwölf Bänden Band 3 p.185

テーマ : ドイツ文学 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Tag : リルケ 墓碑銘

11月1日 蜻蛉日記

<原文>
 かくありし時過ぎて、世の中にいとものはかなく、とにもかくにもつかで、世に経る人ありけり。かたちとても人にも似ず、心魂もあるにもあらで、かうものの要にもあらであるも、ことわりと思ひつつ、ただ臥し起き明かし暮らすままに、世の中におほかる古物語の端などを見れば、世におほかるそらごとだにあり。人にもあらぬ身の上まで書き日記して、めづらしきさまにもありなむ。天下の人の、品高きやと、問はむためしにもせよかし、とおぼゆるも、過ぎにし年月ごろのことも、おぼつかなかりければ、さてもありぬべきことなむおほかりける。

<現代語訳>
 このように様々なことのあった歳月も過ぎて、世の中にたいそう頼りなく、ああにもこうにも落ち着かぬ状態で、この世に暮らす人がいた。容姿といっても人並みでなく、思慮分別があるわけでもなくて、このように役にも立たないのも、道理だと思いつつ、ただ日々を過ごしながら暮らすのにまかせて、世の中にたくさん流布している古物語の片端などを見ると、世の中に多くある作り話さえ書いてある。人並みでもない身の上まで日記に書けば、きっと目新しいものになるであろう。世間の人が、身分の高い人の暮らしはどんな風かしらと、もし問うたときの先例にもしてくださいね、と思われるも、過ぎ去った年月のことも、はっきりしなかったので、そのまま書かずにおくべきことが多く混り込んでしまったことだ。

<語彙>
もの(接頭語)…(形容詞・形容動詞に付いて)何となく
はかなし…はっきりしない、頼りない
ふ(経)…時が過ぎる
心魂…思慮分別、精神、才覚
そらごと…作りごと
めづらし…目新しい、素晴らしい
ためし…例、先例、ならわし

<注釈>
とにもかくにもつかで…夫兼家の来訪が途絶え、筆者は妻であるのかはっきりとしない不安定な状態にある
世に経る人…筆者
問はむ…助動詞「む」は仮定の意
おほかりける…助動詞「けり」は詠嘆の意

蜻蛉日記
日記。三巻。藤原道綱母作。977年成立か。藤原兼家との結婚に始まり,夫との不和,子への愛情など二一年間の生活をつづる。女性の筆になる最初の日記文学〔大辞林〕

テーマ : 古文 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Tag : 蜻蛉日記 藤原道綱母 現代語訳